◇◇◇ 読後感想 ◇◇◇

③感染症関連


「日本史」のタイトルですが、内容は近世史です。特に江戸時代の感染症が本論となっています。コロナの感染拡大で急きょ売れっ子歴史家を担いで出版した出版社の思惑が見えすぎ、歴史をもう少し掘り下げるか、江戸の感染症のみでなく時代史を深めてほしかった。

「病」がタイトルで感染症も含まれていますが、藤原道長は糖尿病・平清盛はマラリアなどと歴史上の人物の病を日記などの文献から、病名を推測している。縄文時代から明治までを対象にしている。表紙絵は癪(しゃく)に苦しむ浮世絵です。者の酒井シズさんはNHK放送大学のテキストで「日本疾病史」がある華岡青洲は麻酔で乳がんの切開手術を行っている。

偏者がロバートキャンベルさんで、全体の流れを解説している。これは利用できる。表紙絵は安政のコレラで棺桶を火葬待ちしている。特筆は「方丈記」で「養和の飢饉」では、鴨川で充満する死臭、変化・腐敗する死骸が記されている。この惨事を「玉葉」で事実確認し、平重衡の南都焼き討ちにも、飢饉と疫病があった。原文と現代文が比較され、古文理解にも興味深く読めます。



神や仏が存在する源に疫病があり疫病の拡大にともなって宗教が発展したとする視点から歴史を見ている。日本書記では天照大神は天皇と同居していたが、禍をなすので、伊勢へ移され畿内から遠ざけられた。また東大寺大仏は天然痘の拡大を防ぐために建立された。

神は古事記、日本書記などで同じ名で現れるが、それそれの個々の独立した物語になっている。ここでは、神の生きざま(?)に流れがあって、すんなりと理解できる。少し癖のある文章ですが、神を視点とした大変面白くできている。

初版は明治45年で昭和19年に改定され、昭和44年の再校正されて再販された。文章の言い回しが明治を感じさせるもので、なかなか理解しにくい。しかし年表は凄い。多分コロナでこの内容は今後様々に利用される文献だと思われます。すこし時間をかけて読む下そうとおもいいています。

現在新刊はありません。そのうちに再販されそうに思います。

日本史に現れた病名

(かさ)・痘瘡(とうそう)・豌豆瘡(わんずかさ)・裳瘡(もがさ) ➡➡  天然痘

沈痼(ちんこ)・(えやみ・わらはやみ)

➡  マラリヤ

咳虐(がいぎゃく) ➡   赤痢

(がい)       ➡  インフルエンザ